通常、自己破産の記録が信用情報に残っている間はローンの審査通過は困難です。しかし、自己破産の情報が信用情報機関に保存される期間には一定の制限があるため、時間が経過すれば新たにローンを利用することができます。
この記事では、自己破産後に車を購入する方法や、車のローン審査を通りやすくするポイントを詳しく解説します。自己破産したけど車の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
自己破産後でも車を購入できる?
自己破産後でも車を購入することは可能です。しかし、一定期間はローンの利用が制限されるため、一括購入など別の方法を検討する必要があります。
自己破産は信用情報機関に事故情報(ブラックリスト)として登録され、過去に返済不能に陥ったことを示しており、新たなローン審査では返済能力に疑問があると判断されます。そのため、信用情報に事故情報が含まれている間は、ローンの申込みが通らない可能性が高いです。
事故情報は時間が経過すれば削除されますが、期間中は自己名義でのローン利用が不可能になります。したがって、自己破産後しばらくの間はローン以外の購入方法を検討することが求められます。
自己破産後に車を購入する4つの方法
自己破産後に車を購入するには、主に以下の4つの方法が挙げられます。
|
自己破産前と比較して車購入の難易度が上がるため、各方法の利点とリスクを十分に検討することが重要です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.現金で一括購入する
自己破産後でも、現金で車を一括購入することは可能です。自己破産しても99万円まで財産を自由財産として保有でき、現金や預金の割合が高ければ車を購入できます。
しかし、自己破産には弁護士費用などの出費も伴うため、実際に一括購入するには資金不足になるケースが多いです。加えて、ブラックリストに登録されている間はクレジットカードの使用が制限されるため、クレジットによる一括払いもできません。
2.家族名義でローンを組む
自己破産した本人の信用情報には事故情報が登録されますが、家族の信用情報には影響しません。そのため、配偶者や両親など家族名義であればローンを組むことは可能です。
ただし、家族が保証人となっている債務がある場合は、支払請求を受けるリスクがあり、その場合は家族名義でのローンが難しくなる可能性があります。また、ローン名義人が実際に車を運転しない場合、「名義貸し」の違法行為にあたるため、該当しないよう注意が必要です。
3.事故情報が削除されてからローンを組む
自己破産などの事故情報は、CIC(指定信用情報機関)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つの主要な信用情報機関に記録されます。信販会社や銀行は、ローンの申込があると、まずこれらの登録情報を確認します。
信用情報機関は情報開示の制度を設けており、自分の事故情報がいつ消去されるかを確認することが可能です。事故情報が削除された後は、車のローンを組めるため、自己破産者でも待てば車購入のチャンスがあります。
自己破産情報の保存は5~10年
自己破産に関する情報は、基本的に5年〜10年間保存されます。期間は信用情報機関によって異なり、この期間中は車のローン審査は通りにくい傾向です。情報が削除されると、審査通過の可能性が高まります。
自分の信用情報の状態を知りたい場合は、情報開示請求することが可能です。この手続きによって、自己破産情報がまだ残っているかどうかを確認できます。
なお、次のページでは、信用情報の回復にかかる期間や方法、回復後に注意すべきポイントについて解説しています。あわせて参考にしてみてください。
4.自社ローンを利用する
自社ローンは、販売店による独自の審査基準に基づいているため、過去の信用情報が審査結果に影響しない場合があります。そのため、一般的なローン審査に落ちたり、自己破産の履歴があったりする方でも比較的利用しやすいといえます。
一方で、自社ローンの利用には保証料や手数料により総額が高くなる可能性や、車種が中古車に限られることが多い点に注意が必要です。
自己破産後でも車が必要な場合、中古車販売店に問い合わせて自社ローンの可能性を探るのがおすすめです。保証人が必要なケースもありますが、ローンを組む手段として考慮する価値はあります。
なお、車の購入に関するローンでお悩みの方は、当社「KSTオート」へご相談ください。お客様のニーズにあわせて、最適な自社ローンをご提案いたします。
自己破産後、ローンで車購入するための事前準備は3つ
続いて、自己破産後にローンで車を購入するための事前準備を紹介します。主に次の3つが挙げられます。
|
自己破産の履歴がなくなったとしても、他の要因で審査に落ちる可能性はあります。審査をスムーズに通過するためにも、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.頭金を多めに用意する
頭金を多めに用意することは、審査において大きなメリットをもたらします。車のローン審査において、返済能力の有無はとても重要な要素です。
まとまった額の頭金を入れることで、経済的な安定性や計画性をアピールでき、審査通過の可能性を高められます。また、頭金が多いほどローンの借入額は減少するため、審査のハードルも下げられます。
年収に対する借入額の割合が低いほど、審査で有利に働くため、自己破産後は特に頭金を貯めることが賢明です。経済状況が改善している証拠として、計画的な貯蓄のアピールが可能になります。
2.信用度が高まるクレジット履歴を作る
信用情報機関の登録情報には、クレジットカードの申込履歴などの支払状況も記録されています。
自己破産の記録が消えても、複数のクレジットカードに申し込んでいたり、料金を滞納していたりする記録があるとローン審査に通らない可能性があります。無闇に申し込まず、クレジットカードを利用した場合は期日内に支払うなど、信用度が高まる履歴を作りましょう。
なお、取引履歴がまったくない状態の場合は返済能力が不明とされ、過去の債務整理を疑われる可能性があります。そのため、適度な取引履歴を作ることも重要です。
3.審査に通りやすい属性を身につける
車のローン審査に通りやすくするためには、安定した属性を身につけることも重要です。ローンの種類により審査基準は異なりますが、一般的に、収入が安定していて勤続年数が長いほど有利とされます。
アルバイトや非正規社員、自営業者などは、たとえ収入が高くても安定性が低いと見なされることがあります。正社員でも、勤続年数が1年未満だと評価が低下する場合があるため、自己破産の記録が消えるまでの間に、可能な限り安定した雇用形態を確保し、年収を高める努力をするとよいでしょう。
自己破産後、車購入のローン審査が通りやすくなるポイントは7つ
自己破産後、ローン審査を通りやすくするためのポイントは次の7つです。
|
項目ごとに詳しく見ていきましょう。
1.信用情報を確認しておく
車のローン審査に申し込む前に、自分の信用情報を確認しましょう。これは、自己破産の記録が消えているかどうか、また延滞記録がついていないかを確認するためです。
信用情報に自己破産や延滞の記録が残っていると、返済能力がないと見なされ、ローン審査に落ちる可能性が高くなります。また、忘れている支払いが延滞記録となっているケースもありえるため、念のため確認しておくと安心です。
2.免責対象のローン会社は避ける
自己破産により免責を受けたローン会社は、新たなローンの申し込みを避けましょう。
信用情報機関における事故情報が消えた後でも、その会社が独自に保持している情報により、審査通過が困難になるケースが多いためです。自己破産により迷惑をかけた会社は、今後も利用できないと考えた方がよいでしょう。
ローンの申し込みをする際は、保証会社や消費者金融なども含め、免責対象の会社かどうかを事前にしっかり確認することが重要です。
3.審査に通りやすいローンを選ぶ
ディーラーローンや自社ローンなど、比較的審査に通りやすいローンを選ぶのもひとつの方法です。これらのローンは一般的な銀行系ローンに比べて審査が緩い傾向にあります。
しかし、金利が高めの設定になっていることが多い点に注意が必要です。ローンの選択時には、金利や手数料など、車両本体価格以外にかかる費用も十分に検討しましょう。
4.ローン実績の多い販売店で車購入する
ローン実績が豊富な販売店を選ぶと、車購入時のローン審査に通りやすくなる可能性があります。これは、販売店がローン会社と良好な関係を築いており、審査が有利になるケースがあるためです。
また、販売店の中には、審査基準や難易度が異なる複数の信販会社と提携しており、一箇所で審査に落ちても、別の信販会社では通過するといったケースもあります。
加えて、審査通過が厳しそうな場合は、販売実績に基づく経験や知識を活かし、顧客が審査に通りやすい金額範囲での購入を検討できるよう支援してもらえるでしょう。
5.短期間に複数のローンに申し込まない
短期間に複数のローンに申し込む行為は避けるべきです。信用情報機関を通じて、ローン会社は「短期間に複数のローンに申し込んでいる」という事実を把握し、不正利用の疑いや経済的な困窮のサインと見なす可能性があります。
たとえば、1〜3ヶ月の間に3社以上のローンに申し込んだ場合、審査において「申し込みブラック」と見なされることもあり、審査に落ちるリスクを高めます。個人信用情報から自己破産の記録が消えたとしても、こうした行動は審査に不利に働くため、一度に複数の申し込みは控え、計画的にローンを検討することが重要です。
6.審査に有利な時期に申し込む
決算期(3月・9月)やボーナス時期(7月・12月)は、ディーラーや販売店が販売実績を上げるために車の値引きが期待でき、これによりローンの借入額を減らせるため、審査に通りやすくなる可能性があります。値引き交渉し、ローン借入額を抑えることができれば、審査に有利になるでしょう。
なお、購入手続きに時間がかかることを考慮し、交渉は1ヵ月前から始めるのがおすすめです。
7.価格の安い車を選ぶ
ローン審査の通過率は、借入希望額に大きく影響されます。価格の安い車を選べば、借入額を低く抑えることができ、審査通過の可能性が高まります。
車のローンでは一般的に返済負担率が30%程度が目安とされているため、この割合を下回る借入額であればより審査に有利です。価格で選ぶと、自分が希望する車ではないこともあるかもしれませんが、返済の負担を軽減し、経済的な安定を保つためには効果的な選択です。
なお、可能な限り頭金を多く用意することで、ローンの負担をさらに軽減させることができます。
自己破産 車購入でよくある3つの質問
ここでは、自己破産 車購入でよくある質問にお答えします。
|
それぞれ詳しく見ていきましょう。
質問1.ブラックリストに載っているか確認する方法は?
ブラックリストに載っているか確認する方法は、信用情報機関に開示請求することで解決できます。この「ブラックリスト」とは、実際には存在しない言葉で、自己破産などの事故情報が記録されている状態を指します。
個人の信用情報を確認するためには、郵送またはオンラインを通じて情報開示請求します。ただし、各信用情報機関によって保有する情報の内容が異なるため、どの信用情報機関を利用するかを決定する前に、過去に取引があった金融機関がどの機関を利用しているかを確認することが重要です。
それぞれの開示請求方法と手数料については、以下の通りです。
【シー・アイ・シー(CIC)】
【日本信用情報機構(JICC)】
【KSC(全国銀行個人信用情報センター)】
|
なお、次のページでは、ブラックリストに載ってしまった人がローンを利用するためのポイントを解説しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。
質問2.自己破産前にやってはいけない行為は?
自己破産前にやってはいけない行為として、主に次の3つが挙げられます。
車の名義を変更する
車の名義を家族や知人に変更することは、財産隠しとみなされる可能性があります。免責許可を得ることができなくなるだけでなく、詐欺破産罪に問われるリスクも伴います。
ローンを一括返済する
自己破産前に車のローンを全額返済しても、引き上げから逃れることはできません。また、特定の債権者だけに返済する行為は詐欺行為と見なされ、免責が認められなくなる可能性が高まります。
車を処分する
自己破産の手続き中に車を勝手に売却または処分することは禁止されています。破産手続き中は、破産管財人の指示に従う必要があり、ローン完済車であっても勝手に処分することはできません。
質問3.自己破産後に購入以外で車に乗る方法は?
自己破産後に車を所有することが困難でも、車を利用する方法は存在します。
|
頻繁に車を使わない場合、レンタカーやカーシェアリングサービスが便利です。ただし、自己破産によりクレジットカードが使用できない間は、現金支払いが可能なサービスを選ぶ必要があります。
また、新車に乗ることができる車のサブスクリプションサービスもひとつの選択肢です。これは、月額料金のみで利用できるサービスで、車のローンを組む必要がありません。
まとめ
自己破産をした後でも、車の購入は可能です。しかし、自己破産者の名義で新規ローン契約を結ぶことは、信用情報機関に事故情報が登録されている間はできません。
したがって、事故情報が削除されてローン契約が可能になるまで待つか、あるいは現金での一括購入など別の方法を検討する必要があります。いずれの方法を選択するにしても、家計への影響を考慮して慎重に計画することが重要です。
Comments