「欲しい車が相場の半額で購入できる」「名義変更の手間がない」このような売り文句で販売されている中古車は金融車である可能性があります。金融車は安く購入できるものの、ランニングコストが高額になる・法律を犯すおそれがあるなどのデメリットが存在します。
この記事では、金融車が流通する理由や想定できる7つのリスクについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
金融車とは?
金融車とは、ローン返済が済んでいない車が、所有者の意思に関係なく流通している車です。当然ですが車を他者に譲渡・販売する場合は、自動車検査証に記載されている所有者の許可がなければ名義変更はできません。
ローンで購入した車の場合、所有者はローン会社となっており、車の使用者(購入者)が許可なく名義変更することはできないため、販売や譲渡、廃車手続きは不可能です。そんな中、何らかの事情によってローンの残債がある状態で市場に流通している車があり、これらを「金融車」と呼ばれています。
第三者が公道を走行するには車検が残っており、ナンバープレートが付いていれば問題はありません。そのため金融車は名義変更こそできませんが、走行できる状態ではあります。
金融車が流通されている3つの理由
金融車が流通されている理由には、以下の3つが挙げられます。
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ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.車を担保に融資する業者が存在する
金融業者の中には、ローンが完済していない車でも、それを担保として融資する業者が存在します。
残債がある車を担保にして融資したお金が返済できなかった場合、担保にされていた車は「金融車」として市場に流通してしまいます。車を質として取られた状態で借金をし返済できなければ、ローン残債がある車が流れてしまうのです。
2.金融車買取専門店が存在する
金融業車以外にも、金融車買取専門店の業者が存在します。ローン残債がある車を二束三文の値段で買い叩き、一般的な中古車よりも格安価格で販売して利益を得る業者です。
一般的な中古車店では、ローン残債がある車は売れません。その場合、金融車買取専門店へ買取を依頼することがあるようです。ただし査定金額と相殺し、ローンの残債を清算することはできます。
3.インターネットオークション
インターネットオークションで販売されている車が、事故車である場合もあります。
インターネットオークションでは、金融車専門業者を利用するより高値で販売できるうえ、明確な説明をせずに出品することも可能です。そのため、最近はインターネットオークションを介した金融車の売買が増えています。
インターネットオークションを利用して車を購入する場合、所有権の譲渡・名義変更などについて慎重に確認しなければなりません。
金融車に乗る7つのリスク
金融車に乗るリスクには、以下の7つが挙げられます。
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ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.保険に加入できない
任意保険を扱っている保険会社にもよりますが、被保険者と所有者が異なる場合、任意保険に加入できないことがほとんどです。
もし加入できたとしても等級引継の条件を満たせないため、必然的に新規での契約を結ばなければなりません。そのため金融車として車両価格を抑えられたとしても、保険料が高額になる可能性が高いのです。
さらに、金融車は保険加入を断られるおそれがあるため、保険代理店が保険会社に虚偽申請しているリスクがあります。もちろん、虚偽申請して保険に加入したとしても、万が一事故が発生した場合に保険金が支払われることはありません。
2.車検を通せない
車検を受けるには、自動車税の納税証明書が必要です。しかし金融車を手放した人が、使用できない車の自動車税を納めることは通常考えにくいでしょう。
そうなると、車検に通らないため、記載されている期限まで乗った車は法律上、公道を走行することは不可能な状態となります。そのため、金融車に乗るということは、道路交通法違反を犯すリスクと隣り合わせであるといえます。
3.返還を求められるおそれがある
金融車は、購入者(使用者)の所有物ではありません。実際に融資を行っているローン会社の所有物となっているため、金融車の返還を求めることができます。
そのため、現在金融車に乗っている人が返還を求められるおそれがあり、適正な手続きを踏んで申し立てられた場合、所有者の返還請求を断ることは不可能です。これは道路運送車両法においても、明確に定められています。
4.無車検になるおそれがある
所有者は、金融車を強制的に抹消登録できます。もし所有者が抹消登録した場合、即時無車検の状態となるため、そのままの状態で走行すると道路交通法違反となり、罰則を受けなければなりません。
また、抹消された情報を金融車に乗っている人は知り得ないため、知らないうちに法律を犯しているおそれがある点は大きなリスクだといえます。
5.ナンバープレートなどの再発行ができない
金融車は、ナンバープレートや車検証を紛失した場合、所有者が許可しなければ再発行できません。もし車検期間内であったとしても、車検証を携帯せずに走行することは違反行為に当たります。
車検証不携帯は、すぐに判明することは稀なことだといえますが、事故を発生させる・警察から車検証の提示があることも考えられます。これらの場合に車検証が提示できなければ、別途罰則を受けなければなりません。
また、ナンバープレート・車検証のいずれかを紛失すると、公道を運転できない状態となります。
6.廃車にできない
金融車が不要になっても廃車や解体はできません。一時抹消や永久抹消は、所有者の許可が必要となるため、実質的に処分することは不可能です。
また、手放すとしても驚くほどの低価格を提示されたり、納税トラブルなどに巻き込まれたりするリスクも高まります。このように廃車する際、トラブルに巻き込まれるおそれを否定できません。
7.暴力団とつながりがあるおそれがある
金融車は、流通経路から考えると、暴力団とのつながりがあることも考えられます。 金融車を購入したあと、暴力団から車を奪い取られることもあり得ます。
仮に警察へ通報したとしても、車検証に記載されている所有者及び使用者のいずれとも関係ない第三者であるため、取り合ってもらえないことも考えられるでしょう。
金融車に関するよくある2つの質問
金融車に関するよくある質問には、以下の2つが挙げられます。
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ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問1.金融車とはなんですか?
金融車は、ローン返済が済んでいない車が、所有者であるローン会社の意思に関係なく売買されている車です。 当然ですが車を譲渡する場合、自動車検査証に記載されている所有者が承諾しなければ、名義変更などの手続きはできません。
それ以外にも金融車には、法的リスクやトラブルに巻き込まれるおそれが否定できない車だといえます。
質問2.金融車に乗るメリットはありますか?
金融車に乗るメリットには、以下のようなものが挙げられます。
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金融車は一般的な中古車よりもリーズナブルに購入でき、車購入に伴うあらゆる手続きがないことがメリットです。しかしメリットに対してデメリット・リスクが多い点に留意しなければなりません。
まとめ
金融車は安く購入できる・手続きが簡易であることがメリットです。しかし法律違反につながるリスクや保険に加入できないおそれがあり、自由に処分できないなどデメリットがたくさん想定されます。
そのため金融車のデメリットを理解して、無用なトラブルを避けるように注意してください。
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